水産乾物の初回輸入で起こる問題の多くは、品質とはほとんど関係がありません。問題となるのは輸入資格と書類です。仕向地の市場に合法的に輸入できない製品、様式の誤った衛生証明書、許可書と一致しない種名、保税倉庫で貼り直しが必要になるラベルなどがその例です。こうした問題は、貨物が船積みされた後では修正に多額の費用がかかり、まったく修正できないものもあります。
本ガイドでは、発注前に答えを出しておくべき問いを、市場アクセス、種とワシントン条約(CITES)上の扱い、書類、関税分類、表示、取引条件、検品の順に整理します。輸入規則は国によって異なり、時とともに変わり、製品、種、原産地によっても左右されます。以下の内容は法的助言ではなく一般的な手引きとしてお読みいただき、契約を確定する前に、貴市場の現行要件を関係当局と許可を受けた通関業者にご確認ください。
要点
- 市場アクセスは価格より先に確認します。輸出資格は製品ごと、原産地ごと、そして多くの場合は工場ごとに決まります。
- すべての種についてワシントン条約上の扱いと国内の制限を確認し、オファー、許可書、書類の間で種名が一致していることを確かめてください。
- 書類一式、衛生証明書の様式、HSコードは、出荷前にサプライヤーおよび通関業者と合意しておきます。
- 表示、言語、インコタームズ、支払条件は書面に残し、毎回の出荷品を承認済みロットの保管品と比較してください。
- 要件は時とともに変わるため、新しい製品、原産地、仕向地のたびに、改めて法令順守の確認を行ってください。
まず市場アクセスを確認する
価格や等級を話し合う前に、そもそもその製品を貴市場に輸入できるかどうかを確認してください。動物由来製品の場合、輸入の可否は通常、製品カテゴリー、種、原産国、そして多くの場合は個々の加工施設という複数の段階で決まります。
- 製品と原産地。一部の市場は、特定の水産物について、衛生上の取り決めを結んでいる国や承認リストに掲載された国からのみ輸入を認めています。
- 施設の適格性。加工施設そのものの登録やリスト掲載を求める市場もあります。たとえば中国は、水産物を含む輸入食品の海外製造企業に対し、中国海関総署(GACC)への登録を義務付けています。またEUは、動物由来製品について、輸出国ごとの承認リストに掲載された施設からの出荷であることを求めています。
- 輸入業者の義務。登録、貨物の事前通知、海外サプライヤーの食品安全管理の検証など、輸入業者自身に義務を課す市場もあり、米国がその一例です。
- 製品固有の取り決め。市場によっては、特定の製品に追加の条件が課されます。たとえば食用の燕の巣では、登録された加工施設と、特定の動物衛生に関する証明が求められる場合があります。
対象となる施設と製品が貴国への輸出資格を有することをサプライヤーから書面で確認し、所管当局が公表しているリストがある場合は、その内容と照合してください。
種、ワシントン条約(CITES)上の扱い、合法的な原産地を確認する
水産乾物は複数の種を含みうる名称で取引されますが、税関、獣医当局、野生生物当局は学名に基づいて判断します。そのため、種はオファー、船積書類、そして必要な場合はラベルに、正確かつ同一の表記で申告しなければなりません。
水産乾物の取引で使われる種の中には、ワシントン条約(CITES、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)の掲載種があります。たとえば、ティートフィッシュ(teatfish)と呼ばれるグループを含む熱帯性ナマコの数種は、附属書IIに掲載されています。チョウザメ類とヘラチョウザメ類はすべてワシントン条約の掲載種で、その大半が附属書IIに掲載されているため、キャビアも対象となります。また、ヒレに利用されるサメの種もいくつか掲載されています。附属書II掲載種の取引には、輸出国の管理当局が発給するワシントン条約の輸出許可書が必要で、EUをはじめ一部の輸入市場では、多くの掲載種について輸入許可書も求められます。
国内法がワシントン条約より厳しい規制を設けている場合もあり、許可の有無にかかわらず特定の製品を制限している市場もあります。花膠(魚の浮き袋)については、種の申告と、取引が合法で保護対象ではない種に限った供給を求めてください。乾燥ナマコやキャビア・高級魚卵のオファーでは、種と許可の状況を、発注後ではなく最初の段階で明記すべきです。
必要となる可能性が高い書類
必要な書類は、製品、原産地、仕向地、輸送手段によって異なります。下表は水産乾物の輸入で最もよく関係する書類をまとめたものです。すべての貨物にこれらすべてが必要なわけではなく、追加の証明書や申告書を求める市場もあります。
| 書類 | 目的 | 備考 |
|---|---|---|
| 商業送り状(インボイス) | 品名、価額、当事者、合意したインコタームズの条件を記載し、関税評価と関税計算の基礎となる | 品名、重量、HSコードは他の書類と完全に一致している必要がある |
| パッキングリスト | 品目ごとのカートン、正味重量と総重量、ロットコードを記載する | 税関検査と倉庫での受け入れに使用する |
| 船荷証券(B/L)または航空運送状(AWB) | 運送契約であり、貨物の受取証となる | 海上輸送の船荷証券の原本は権原証券として機能しうるが、航空運送状は機能しない |
| 原産地証明書 | 貨物の原産国を証明する | 貿易協定に基づく特恵税率の適用には、特定の様式が必要な場合がある |
| 衛生証明書 | 貨物が輸入国の衛生要件を満たしていることを、輸出国の所管当局が同国を代表して署名し、公式に証明する | 仕向地向けに合意された様式に従う必要があり、原本を貨物に添付するか、貨物より先に送付しなければならない場合が多い |
| 漁獲証明書 | 天然の魚が合法的に漁獲されたことを示す。たとえば天然水産物に関するEUのIUU(違法・無報告・無規制)漁業規則に基づくもの | 第三国で加工された製品には、加工に関する証明書(processing statement)も必要な場合がある |
| ワシントン条約(CITES)の許可書 | 掲載種の国際取引を許可する | 原産国の輸出許可書が必要。輸入許可書も求める市場がある。種と数量は貨物と一致していなければならない |
| 検査報告書/分析証明書(COA) | 水分、微生物、汚染物質など、合意した項目の結果を報告する | 検査項目、基準値、検査機関は、出荷前に契約で合意しておく |
貨物の出荷前にすべての書類の草案を取り寄せ、名称、重量、種、HSコードが書類一式で一致しているかを確認してください。書類間の不一致は通関遅延のよくある原因であり、避けることができるものです。
関税分類とHSコード
HSコード(国際的な統一商品分類)によって、関税率、適用される規制、さらに場合によっては必要な証明書が決まります。分類は商品名ではなく、製品の形態と加工の程度に従います。たとえば乾燥した魚の浮き袋は一般にHSの第0305項、軟体動物(干しアワビ、干し貝柱、干し牡蠣を含む)は第0307項、ナマコなどの水棲無脊椎動物は第0308項に分類されます。通関業者にご確認ください。
- 干しエビなどの甲殻類は、一般に第0306項に分類されます。
- 食用の燕の巣は、一般に第0410項に分類されます。
- 加熱、味付けなど、単なる乾燥を超えて調製された製品は第16類に分類される場合があり、関税率と適用される規制の両方が変わることがあります。
- 最初の6桁は国際的に統一されていますが、それ以降の桁は各国が定めるため、市場によって異なります。
初回出荷の前に通関業者と分類を確定し、サプライヤーにはインボイスに同じコードを使うよう依頼してください。分類が本当に判断しにくい場合、申請に基づいて拘束力のある関税分類の事前教示を行う税関当局もあります。
表示と言語の要件
表示規則が実際に適用されるのは販売の時点ですが、発注内容にも影響します。小売パックには通常、仕向地の言語による表示が必要です(たとえば中国に輸入される包装食品には中国語表示、カナダでは英語とフランス語の2言語表示)。また、貨物の引き取りや販売の前に、規則に適合した表示が済んでいることを求める市場もあります。一般的な義務表示事項は次のとおりです。
- 製品名と、必要な場合は種の学名
- 正味重量、原材料、市場の求めに応じた魚・甲殻類・軟体動物のアレルゲン表示
- 原産国と、一部の水産物では漁獲海域または生産方法
- 保存方法、期限表示、ロットコード
- 仕向地市場における輸入業者または責任事業者の名称と所在地
製品を現地で再包装するためにバルクで輸入するのか、完成した小売パックで輸入するのかを早めに決めてください。それによって、誰がいつ表示を印刷し、誰が承認するかが決まります。
取引条件、試験発注、検品
インコタームズ。インコタームズ2020は、輸送の各段階を誰が手配して費用を負担し、どこで危険が移転するかを定めています。FOBでは、買主が積出港からの主運送を手配します。CFRまたはCIFでは売主が仕向港までの運賃を負担し、CIFではさらに保険が加わりますが、危険は原産地で貨物が本船に積み込まれた時点で買主に移転します。DAPでは、売主が仕向国の指定地まで貨物を届け、買主が輸入通関と関税を担います。FOB、CFR、CIFは海上および内陸水路輸送向けの規則であり、コンテナ貨物にはFCA、CPT、CIPのほうが技術的に適している場合が多くあります。
支払条件。電信送金(T/T)が一般的で、前払金を支払い、残金を船積書類と引き換えに支払う形がよく用いられます。信用状(L/C)は銀行を介することで双方に安全性をもたらしますが、書類が信用状の条件に厳密に一致している必要があるため、信用状の文言はサプライヤーが実際に作成できる書類に合わせてください。どの方法が適切かは、取引関係、注文の規模、各当事者がどこまでリスクを許容できるかによって決まります。
試験発注と船積前検査。最初の試験ロットは書面の規格書に照らして承認し、その一部を密封した基準品として保管してください。積み込み前には、カートンのロットコードが見える状態で実際の生産ロットの写真を求め、大口の注文では、等級、重量、梱包、表示について第三者機関による検査も検討してください。当社の輸出品質保証のページでは、積み込み前に当社が行うロットの確認と、準備する書類をご説明しています。
初回発注のチェックリストと通関業者との連携
貴市場で許可を受けた通関業者は、製品に即した最新の助言を得るうえで最も実際的な相談先です。船が到着してからではなく、発注前の段階から関わってもらいましょう。分類、関税、必要な許可書と証明書、港での衛生検査や獣医検査の手配、到着前に必要な通知などを確認してもらえます。初回発注の前に、次の項目を順に確認してください。
- 製品、種、原産地、供給施設が貴市場への輸出資格を有することを確認する。
- 種ごとに、ワシントン条約上の扱いと国内の制限を確認する。
- HSコードと見込まれる関税を通関業者と合意する。
- 必要な書類をすべてリストアップし、衛生証明書の様式をサプライヤーと合意する。
- 規格書に照らして試験ロットを承認し、後で比較できるよう一部を保管する。
- 貴市場向けの表示、言語、包装形態を確定する。
- インコタームズの条件、支払条件、リードタイム、輸送温度を書面の契約で定める。
- 出荷前に書類の草案を確認し、必要に応じて検品を手配する。
本ガイドは一般的な貿易情報であり、法律上・規制上の助言ではありません。要件は市場によって異なり、変更されることがあります。ご発注前に、通関業者または所管当局に最新の規則をご確認ください。





