コラーゲンペプチド、ゼラチン、魚骨カルシウムの工場は、いずれも同じところから始まります。魚をフィレに加工した後に残る皮、鱗、中骨です。加工業者にとって、これらの副産物は主原料であり、到着時の状態によって、抽出歩留まり、色、においの上限が決まり、完成した素材に添えて市場に出せる書類の範囲も決まります。「ティラピアの皮」として販売される2本のコンテナでも、一方はフィレ加工から数時間以内に凍結され、もう一方は回収場の床で温かいまま放置されていたとすれば、性能はまったく異なることがあります。
本ガイドは、コラーゲン、ゼラチン、食品素材メーカーの技術・購買チームと、そこに原料を供給する輸入業者を対象としています。3つの副産物の違い、魚種と生息環境の申告方法、取引される冷凍・乾燥・塩蔵の各形態、規格書で設定すべき項目、完成したゼラチンのゲル特性、そして食品用と工業用の流通経路の分離を取り上げます。ここで扱うのは原料の規格のみです。加工業者が自社の最終製品について何を表示できるかは、その加工業者と市場の規則によって決まります。
要点
- 魚皮、魚鱗、魚骨は別々の規格で購入してください。魚皮は主に脂肪と残留物、魚鱗と魚骨はミネラル分によって制約されます。
- すべてのロットについて、学名による魚種、養殖か天然か、淡水か海水かの生息環境を申告し、各ロットを単一魚種に限ってください。
- 水分、脂肪、灰分、たんぱく質、鮮度、異物、微生物、汚染物質の基準値を契約で設定し、それぞれの方法と基準を明記してください。
- ブルーム強度、粘度、融解特性は完成したゼラチンの特性であり、原料だけでなく加工業者の方法によっても左右されます。
- 予約前に各原料が食品用か工業用かを確定し、2つの経路を物理的にも書類上も分けて管理してください。
魚皮、魚鱗、魚骨:性質の異なる3つの原料
副産物の種類ごとに、たんぱく質、脂肪、ミネラルのバランスが異なるため、加工業者は通常、同じ工場の同じ魚種から得られたものであっても、それぞれ別の規格で購入します。
- 魚皮は最も直接的なコラーゲン源で、ミネラルはほとんど含みません。弱点は脂肪、残肉、残った鱗で、これらは魚種とトリミングによって異なります。コラーゲンペプチドと魚ゼラチンの主原料であり、当社の魚由来コラーゲン原料の取り組みでは、当社が調達する魚皮と魚鱗を扱っています。
- 魚鱗は、コラーゲン繊維とかなりの割合のリン酸カルシウムを併せ持っています。乾燥品は保管・輸送しやすいものの、抽出前にミネラルを溶かし出す必要があるため、灰分が最も重要な項目になります。当社の乾燥魚鱗は主に養殖ティラピア由来です。
- 魚骨と中骨は、身と脂肪を除くとほとんどがミネラルで、主にカルシウム粉末用として、まれにゼラチン用として購入されます。通常の懸念事項は残肉、脂肪、においで、粉末のバイヤーは粒度も設定します。
種類の異なる原料が混ざると、こうした前提がすべて崩れます。鱗の割合が一定しない魚皮や、頭が付いたままの魚骨を受け取った加工業者は、歩留まりも脱灰に必要な処理量も予測できないためです。単一種類のロットが標準であり、バイヤーが混合品を望む場合は、個別に書類が整った構成原料から組み合わせるべきです。
魚種、生息環境、由来の申告
加工業者が見込めることの多くは、魚種によって決まります。脂肪量、皮の厚さ、抽出されるゼラチンのゲル特性、そして最終的な素材をどのように表示できるかです。すべてのオファーには、一般名と学名による魚種、養殖か天然か、そして生息環境を記載すべきです。
- 養殖の淡水魚、たとえばティラピア(Oreochromis niloticus)、パンガシウス(Pangasianodon hypophthalmus)、コイは、取引される魚皮と魚鱗の量の多くを占めています。大規模なフィレ工場から、単一魚種の原料が安定して発生するためです。
- 天然の海産白身魚、たとえばタイセイヨウダラ(Gadus morhua)やスケトウダラ(Gadus chalcogrammus)は冷水性の魚皮を供給し、通常はフィレや冷凍ブロックを生産する工場から得られます。
- 養殖の海産魚は、海面養殖のサケが代表例で、脂の多い皮となります。用途によっては適していますが、別の用途ではより厳しい脂肪の上限が必要です。
生息環境は、技術面だけでなく商取引の面でも重要です。淡水魚由来のコラーゲンが、あいまいな「マリン」という表現で販売されることがありますが、市場によっては誤認表示に関する規則に抵触するおそれがあるため、申告は由来について加工業者に疑問を残さないものであるべきです。天然魚由来の原料は仕向地によって漁獲証明書が必要になる場合があり、養殖魚由来の原料は一般に動物用医薬品の残留検査を受けます。各ロットについて、国名だけでなく、供給工場の名称または承認番号を求めてください。
冷凍・乾燥・塩蔵の各形態と輸送方法
フィレ加工後に原料をどのように安定化させるかは、魚種と同じくらい重要です。魚皮や魚骨は常温では数時間以内に劣化し始めるためです。取引では3つの方法が見られます。
- 冷凍。内袋付きカートンでブロック凍結した魚皮と魚骨は、抽出原料の標準的な形態です。鮮度を最もよく保てますが、バイヤーは途切れのない冷凍チェーンとリーファーコンテナでの輸送を前提としなければなりません。カートン同士の固着、内袋の中の霜、ドリップの染みなど、解凍と再凍結の兆候があるブロックは不合格にしてください。
- 乾燥。天日乾燥または機械乾燥した魚鱗と一部の乾燥魚皮は常温で輸送でき、魚の生産地から遠い加工業者に適しています。乾燥条件は色とにおいに影響し、乾燥原料は湿気を吸いやすいため、包装とコンテナ内の条件も規格の一部になります。
- 塩蔵。一部のサプライチェーンでは、冷凍や乾燥の代わりに塩蔵が用いられます。塩蔵原料を検討するバイヤーは、塩分を申告させ、合意しておくべきです。塩分は洗浄、排水、抽出に影響するためです。当社の原料ページには冷凍と乾燥の取り扱いを掲載しています。
冷凍原料は、パレットに積んでシュリンク包装し、工場から受け入れまで安定した冷凍温度で輸送し、積み替え時やバイヤーの倉庫で解凍が起きないようにすべきです。乾燥原料は内袋付きの袋またはベールで輸送し、湿った床に置かず、においの強い貨物から離し、結露から保護します。両方については、当社のリーファーコンテナとドライコンテナによる輸送のガイドで詳しく取り上げています。
加工業者が設定する規格項目
原料規格は、こうした期待を測定可能な基準値に置き換えたものです。多くの加工業者は以下の項目を設定し、その値を自社の工程に合わせて調整したうえで、双方が認める検査機関が発行する分析証明書(CoA)によってロットごとに確認します。
| 項目 | 重要な理由 | バイヤーの一般的な設定方法 |
|---|---|---|
| 魚種と生息環境 | 脂肪、ゲルの挙動、最終的な素材の表示方法を左右する | 一般名と学名、養殖か天然か、淡水か海水か。1ロット1魚種 |
| 水分 | 乾燥原料の保管安定性と、代金を支払う乾物量を決める | 乾燥原料の上限を契約ごとに取り決め、CoAで確認 |
| 脂肪(脂質) | 酸化して製品ににおいを移し、脱脂の負荷を増やす | 基準(受け入れ時または乾物)を明示した上限。脂の多い魚種はトリミングの規則 |
| 灰分 | ミネラル含有量を示す。魚鱗と魚骨では高く、きれいな魚皮では低い | 魚皮は上限を設定。魚鱗と魚骨は脱灰の計画のために報告 |
| たんぱく質 | 抽出可能な成分の量を示す。通常は窒素から算出 | 下限または目標範囲。コラーゲンの指標としてヒドロキシプロリンを加えるバイヤーもいる |
| 鮮度 | 腐敗により歩留まりが下がり、色が暗くなる | フィレ加工から凍結までの時間。TVB-N、関係する魚種ではヒスタミンも |
| 異物 | プラスチック、金属、ひれ、身、他の魚種は製品と工場を汚染する | 除外対象と許容値を列挙し、ロットごとに目視検査で確認 |
| 微生物 | 受け入れ時の菌数は加工業者自身の管理工程に影響する | 必要に応じて一般生菌数、Enterobacteriaceae、Salmonellaなどの項目 |
| 汚染物質 | 最終的な素材は仕向地の法定基準値を満たさなければならない | 重金属、養殖魚の動物用医薬品残留、その他市場が規制する分析項目 |
| 取り扱い | 解凍の繰り返しや湿った場所での保管は、元に戻せない損失を招く | 明示した温度での冷凍、または乾燥・密封。要求に応じて温度記録を提出 |
数値と同じくらい、基準と方法が重要です。乾物基準の脂肪の上限は、受け入れ時基準で示したものとは比較できず、たんぱく質の結果は窒素の測定方法と換算係数によって変わるため、両方を明記してください。当社が各原料について取り決める項目は、魚ゼラチン原料のページとその関連ページに掲載しており、貴社独自の規格書を作成する際の実用的な出発点になります。
完成品のゼラチンとコラーゲン:素材のバイヤーが検査する項目
完成した魚ゼラチンやコラーゲンペプチドを購入するバイヤーもおり、原料のバイヤーも、自社の顧客が何を測定するかを知っておく必要があります。ゲル特性は完成した素材の特性です。魚だけでなく、加工業者の前処理、抽出、ろ過、乾燥にも左右されるため、魚皮や魚鱗について保証することはできません。
- ゲル強度(ブルーム強度)。標準化された試験で、一定の条件で調製・熟成させたゲルに、プランジャーを一定の距離押し込むのに必要な力を測定し、グラム(ブルーム)で表します。バイヤーは用途に応じた範囲を指定します。
- 粘度。一定の濃度と温度の溶液で測定され、製造ラインでの挙動と、ゼラチンが食品に与える食感に影響します。
- 融解と凝固。温水性魚種のゼラチンは一般に、冷水性魚種のゼラチンよりもしっかりしたゲルを形成し、高い温度で融解します。これは、室温で形を保たなければならない製品で重要になります。
- 透明度、色、におい。魚ゼラチンではこれらが決め手となることが多く、原料の鮮度や脂肪と密接に連動します。
- コラーゲンペプチドは通常、分子量分布、たんぱく質含有量、溶解性、色、におい、水分、灰分によって規定され、あわせて仕向地の微生物と汚染物質の基準値が適用されます。
試験方法によって結果が変わるため、ブルーム値や粘度の数値を比較する前に、試験規格と検査機関を取り決めてください。BSAの役割は原料の供給です。完成した素材については、当社の輸出担当者が個別にご相談に応じます。
食品用と工業用の流通経路:分けて管理する
同じ魚皮や魚骨が食品素材にも工業用原料にもなり得ますが、それを決めるのは原料そのものではなく取り扱いの経路です。食品用の原料は、人の食用の生産について認可を受けた工場から得られ、フィレ加工ラインから先、回収、冷凍または乾燥、保管、輸送のすべてにおいて食品として扱われます。混在した回収、不十分な冷却、非食品の原料と並べた保管などによってその経路から外れた原料は、一般に動物副産物として扱われ、多くの国・地域では食品の経路に戻すことはできません。
そのため、当社の工業用の魚加工副産物の掲載は、食品用の取り組みとは分けています。その頭、中骨、端材、内臓は、該当する副産物区分のもとで、魚粉、魚油、ペットフード、肥料、加水分解物のメーカーに向けられ、それに応じて包装・表示されます。内臓は常に工業用であり、その他の原料は、オファーに明記されている場合に限り食品用とみなされます。
トレーサビリティ、書類、サプライヤーの適格性評価
副産物のトレーサビリティは、主要な水産物と同じくらい厳格であるべきです。各ロットを工場、魚種、製造日、取り扱い記録にひも付け、すべてのカートンや袋にロットコードを付けます。一般的な書類一式には、魚種・工場の申告書、CoA、原産地証明書、商業送り状(インボイス)とパッキングリスト、そして区分と仕向地に応じて衛生証明書または動物副産物の書類が含まれます。新しい供給元を承認する前に、次の点を確認してください。
- 供給工場は人の食用の生産について認可を受けていますか。また、施設の登録制度が適用される場合、貴市場への輸出資格がありますか?
- 魚皮、魚鱗、魚骨は別々に回収され、あらゆる段階で非食品の原料から分けて管理されていますか?
- フィレ加工から凍結または乾燥までの時間は書面で示されていますか。また、どのように記録されていますか?
- 各ロットは単一魚種で、学名と生息環境が申告されていますか?
- サプライヤーは、貴社の規格書の方法と基準に従って、認められた検査機関のCoAを提供しますか?
- ロットコードは出荷書類まで引き継がれ、製造日までたどれますか?
- 貴社の顧客が宗教上または食事上の要件に関する認定を求める場合、サプライチェーンは貴社の認定機関が求める記録を提供できますか?
- サプライヤーは商業規格どおりに製造した試験ロットを出荷し、保存サンプルを保管しますか?
本ガイドは一般的な貿易情報であり、法律上・規制上の助言ではありません。要件は市場によって異なり、変更されることがあります。ご発注前に、通関業者または所管当局に最新の規則をご確認ください。





