冷凍のカニやアワビのコンテナは、完璧な状態で原産地を出発しても、到着時にはクレームになっていることがあります。よくある原因は特別なものではありません。設定温度より温かい状態で積み込まれたカートン、積み替え港で何時間も電源が抜かれたままのリーファー、空気の流れをふさぐパレット、気候帯を越える間に内部で「雨が降った」干し水産物のドライコンテナなどです。こうしたリスクの大半は扉が閉まる前に決まり、誰が損失を負担するかは契約の貿易条件によって決まります。
本ガイドでは、水産物を国際的に仕入れる際の物流を取り上げます。冷凍、チルド、活、乾燥の各製品がどのように輸送されるか、リーファーの仕組み、求めるべき記録、航空便を使うべき場合、インコタームズ2020の主な規則による費用とリスクの配分、そしてクレームを裏付ける証拠です。輸入資格、許可、関税分類番号といった市場参入の問題は、当社の水産乾物の輸入に関するガイドで扱っています。ここに示す温度は一般的な取引慣行を反映したもので、製品規格と運送人の指示が優先します。
要点
- リーファーは温度を下げるのではなく維持するものです。そのため、製品は積み込み前に中心部まで輸送温度に達している必要があります。
- 設定温度、ロガーの要件、インコタームズの指定地を契約とブッキングに記載し、積み付けはロードラインより下に収めてください。
- ドライコンテナで輸送する干し水産物には、コンテナレインを防ぐため、乾燥した貨物とパレット、乾燥剤、防湿性の内袋が必要です。
- FOB、CFR、CIFでは、原産地で貨物が積み込まれた時点で輸送中のリスクが買主に移ります。FCAでは、その移転が運送人への引き渡しの時点になります。
- 冷凍貨物のリスクを対象とする保険をかけ、シール、ロガー、リーファーの記録を保管し、損傷した貨物は処分前にサーベイヤーに検査させてください。
冷凍、チルド、活、乾燥:異なる4つのチェーン
物流上の最初の判断は製品の保管条件によって決まり、条件ごとに独自の設備、輸送時間の許容範囲、典型的な失敗があります。
- 冷凍のカニ、エビ、アワビ、貝類、ナマコ、原料類は、リーファーコンテナで海上輸送され、小口や急ぎの注文には航空便を使います。輸送時間よりも、温度を安定して保つことのほうが重要です。
- 生鮮の貝類やウニなどのチルド品は賞味期限が日単位で数えられるため、通常は断熱包装で空輸します。
- 活アワビや活ガニには、酸素、湿度、安定した低温、そして速さが必要で、仕向地では動物衛生に関する規則の対象となります。
- 乾燥ナマコ、干しアワビ、花膠、干し貝柱、干しエビ、魚鱗は、ドライコンテナまたは航空貨物で輸送され、熱よりも湿気が最大の敵です。
リーファーの設定温度、予冷、積み込み
リーファーは独自の冷凍ユニットを備えた断熱コンテナで、船舶、ターミナル、または陸上輸送区間では発電機セット(ジェンセット)から電力を受けます。外から入り込む熱に対して貨物を所定の温度に保つように作られており、温かいまま積み込まれた何トンもの製品が蓄えた熱を取り除くためのものではありません。
冷凍水産物は一般に-18°C以下で輸送され、余裕を持たせるためにさらに低い設定温度を選ぶ荷主もいます。より低温で保つほうがよい製品もあります。たとえばタラバガニや大型エビのパッカーは、特に長期保管の場合、-25°C前後を勧めることがあります。数値は製品規格から取り、荷主に確認したうえで、売買契約とブッキングに記載してください。
- 貨物を予冷する。製品は冷蔵倉庫で中心部まで輸送温度に到達させておく必要があります。積み込み時にはサンプルのカートンで中心温度を測定してください。
- 空のコンテナの予冷は密閉されたドックでのみ行う。運送人は一般に、暑いドックで扉を開けたまま置かれるコンテナを冷やさないよう勧めています。流れ込んだ湿った空気が冷たい表面で結露し、凍結するためです。
- ユニットを確認する。表示された設定温度がブッキングと一致し、冷凍貨物では換気口が閉じていることを確認します。
- 手早く積み込む。扉を開けておく時間を短くし、積み付け状態、ユニットの表示、シールを写真に撮ります。
空気の流れ、積み付け、温度記録
ほとんどのリーファーは、前端のユニットから冷気を送り出し、T字型の溝のある床に沿って流し、貨物の周りを上昇させて、天井を通ってユニットに戻します。この循環をふさいだり短絡させたりするものがあると、温度の高い部分が生じます。
- 側壁に表示された赤いロードラインより下に積み付け、戻り空気が貨物の上を通れるようにします。
- 床の溝はふさがないようにします。フィルム、段ボール、スリップシートを溝の上に敷くと、給気が妨げられます。
- 冷凍カートンは、空気が積み荷の周りを流れるよう、すき間なくブロック状に積み付けます。チルド貨物には通常、通気孔付きのカートンと、空気が通り抜けられる積み付けが必要です。
- 特に扉側に大きなすき間を作らないようにします。空気が貨物を迂回してしまうためです。また、パレットが動かないよう固定します。
リーファーの航海の経緯は、2つの記録が物語ります。ユニットのコントローラーは設定温度、空気温度、アラームを記録しており、運送人に依頼すればダウンロードしてもらえます。カートンの間に入れた独立したロガーは、ユニットが停止していた時間を含め、製品が実際に経験した状況を示します。ロガーは積み込み前に起動し、扉の近くと上段に配置し、シリアル番号をパッキングリストに記載してください。当社はリーファー貨物について、設定温度の記録と積み込み時の写真を標準で共有し、ご要望に応じてUSB型またはリアルタイム型のロガーを追加します。また、当社の冷凍・活魚介類のページでご説明しているとおり、混載リーファーには保管温度が共通する品目のみを積みます。
ドライコンテナでの干し水産物:湿度とコンテナレイン
完全に乾燥した水産物は通常、冷蔵せずに輸送できますが、吸湿性があり、湿度の高い熱帯の港から涼しい気候へ移動する密閉された鋼製の箱は、湿気の罠になります。夜間や寒冷な海域で外気が冷えると、屋根や壁も冷え、コンテナ内の空気中の水分がそこで結露してカートンに滴り落ちます。このコンテナレインによって、上段が濡れ、製品が軟化し、数週間のうちにカビが発生することがあります。
- 積み込み時に製品とカートンが乾燥していることを確認してください。コンテナ内の水分の多くは、貨物、包装、木製パレットとともに持ち込まれます。
- 仕向地の木材梱包材の規則を満たす、乾燥した熱処理済みのパレット、またはプラスチックパレットを使用し、雨の中で積み込まないでください。
- ルートと容積に合わせた量の乾燥剤の袋またはストリップを壁沿いに吊るし、滴を受け止める紙製または布製の天井ライナーの使用も検討してください。
- 製品を各カートン内で防湿袋に密封し、カートンが濡れても製品が濡れないようにします。
半乾燥品は事情が異なり、その規格の指示どおりに冷蔵で輸送すべきです。高価な完全乾燥品については、代わりに氷点より高い低めの設定温度のリーファーに費用をかけるバイヤーもいます。これは熱と湿気を防ぎますが、冷えたカートンを温かい空気の中で開けると結露が生じるため、密封したまま温度を戻してください。倉庫に入ってからの管理は、当社の干し水産物の保管ガイドで引き継いで解説しています。
FCL、LCL、航空便を使うべき場合
コンテナ単位(FCL)では、1社の荷主がコンテナに貨物を積んで封をし、税関検査を除いて開封されないまま荷受人まで輸送されます。積み付けと温度を最もよく管理でき、冷凍水産物では標準的な選択です。小口混載(LCL)では、他の荷主の貨物とコンテナを共有し、コンテナフレートステーションで混載・仕分けされます。少量の乾燥品には適していますが、取り扱い、時間、においの移りのリスクが増え、冷蔵のLCLは一部のルートでしか運航されていません。
複数品目の注文では、自社の製品を1本のFCLにまとめるのが最善の折衷案になることがよくあります。においの強いスルメは花膠や燕の巣から離し、品目ごとにまとめて積み付け、パッキングリストが積み付け状態と一致するようにしてください。1か所の不一致でコンテナ全体が留め置かれることがあるためです。
航空便は活およびチルドの水産物では標準であり、急ぎの冷凍品や高価な乾燥品のロットでは時折使われる選択肢です。運賃は実重量と容積重量のいずれか大きいほうで計算されるため、梱包の設計がコストを左右します。生鮮品の梱包は断熱性と防漏性を備えていなければならず、ドライアイスは申告が必要な危険物として規制されています。乗り継ぎの短い便を選び、検査機関が閉まっている時間帯の到着を避け、荷受人が引き取れるよう準備しておいてください。活アワビなどの活貨物は、仕向地の動物衛生に関する規則にも左右されます。
水産物のインコタームズ2020:誰が費用を払い、誰がリスクを負うか
インコタームズは国際商業会議所(ICC)が発行する貿易条件の規則です。売主がどこで引き渡すか、各区間の費用を誰が支払うか、誰が輸出通関と輸入通関を行うか、そして滅失や損傷のリスクがどこで移転するかを定めます。所有権がいつ移転するか、どのように支払うか、貨物にどの温度が必要かは定めておらず、これらは売買契約で定めるべき事項です。「CFR Hong Kong, Incoterms 2020」のように、規則、指定地、版を明記してください。
| 規則 | 売主が手配・負担するもの | リスクが買主に移転する時点 | 水産物での注意点 |
|---|---|---|---|
| FCA(運送人渡し) | 輸出通関。指定地で買主の運送人へ引き渡し | その運送人への引き渡し時 | あらゆる輸送手段に対応。コンテナ貨物と航空貨物に適する |
| FOB(本船渡し) | 輸出通関。買主が指定する本船への積み込み | 原産地で貨物が本船に積み込まれた時点 | 海上・内陸水路輸送のみ。買主がリーファーの船会社を手配 |
| CFR(運賃込み) | FOBの内容に加え、仕向港までの海上運賃 | 到着時ではなく、原産地での本船積み込み時 | 売主が手配した輸送でも、航海中のリスクは買主が負う |
| CIF(運賃・保険料込み) | CFRの内容に加え、買主のための貨物保険 | 原産地での本船積み込み時 | 最低限の補償のみ(協会貨物約款(C)または同等の条件)。より広い補償を取り決める |
| DAP(仕向地持込渡し) | 指定仕向地までのすべての輸送 | 到着時、荷卸しの準備ができた時点 | 買主が荷卸し、輸入通関、関税の支払いを行う |
| DDP(関税込持込渡し) | DAPの内容に加え、輸入通関、関税、税金 | 指定地で、荷卸しの準備ができた時点 | 売主が輸入市場で手続きを行う必要があり、食品では現実的でないことが多い |
紛争になりやすい点が2つあります。FOB、CFR、CIFでは、売主が運賃を支払った場合でも、原産地で貨物が本船に積み込まれた時点でリスクは買主に移るため、航海中のリーファーの故障は買主の損失となり、運送人または保険会社に回収を求めることになります。また、コンテナは通常、積み込みの数日前にターミナルに搬入されるため、本船を基準とする規則では、売主がもはや管理していない貨物のリスクを売主が負うことになります。FCA、CPT、CIPでは、リスクの移転がその引き渡しの時点になります。BSAは、当社の卸売条件に記載のとおり、FOB、CFR、CIF、FCA、DAPのいずれかで出荷ごとにお見積もりします。
書類、保険、クレームの証拠
正確な書類の一覧は仕向地の規則によって決まりますが、ほとんどの水産物の貨物には次の書類が添付されます。コンテナ番号とシール番号を記載した船荷証券(B/L)または航空運送状、品目ごとに一致する商業送り状(インボイス)とパッキングリスト(冷凍品の正味重量はグレーズを除く)、必要な場合は原産地証明書、仕向地の様式による衛生証明書(コンテナ番号とシール番号が記載されている場合は船荷証券と一致していること)、そして必要な場合は天然漁獲品の漁獲証明書です。船荷証券の原本を国際宅配便で送るか、原産地で元地回収(サレンダー)とするか、海上運送状(シーウェイビル)に置き換えるかを早めに取り決めてください。港で待機する冷凍貨物には保管料と電源料がかさむためです。
保険は、選択した規則のもとで輸送中のリスクを負う当事者が手配します。標準的な貨物約款は、最低限のものだけでなく補償範囲の広いものでも、冷凍貨物向けに拡張しない限り、温度変化や冷凍機の故障による損害を対象外としている場合があるため、初回の出荷前に保険が何を補償するかを確認してください。到着時に損傷が見つかった場合は、受領書に異常を記載し、シールを保管して写真を撮り、リーファーのデータのダウンロードを依頼し、ロガーのデータを保存して、ただちに運送人と保険会社に書面で通知してください。通知期限が短い場合があるためです。損傷した貨物を廃棄または販売する前に、保険会社のサーベイヤー(鑑定人)に検査させてください。
すべての貨物について、出荷前と到着時に次のチェックリストを確認してください。
- インコタームズの規則、指定地、設定温度、ロガーの要件を契約とブッキングに記載する。
- 積み込み前に中心温度を確認する。乾燥品の場合は、乾燥状態、パレット、乾燥剤を確認する。
- ユニットの表示と換気口を確認し、積み付け状態、閉じた扉、シールを写真に撮る。
- 出航前に、書類の案の間で重量、品名、コンテナ番号、シール番号を照合する。
- 誰が貨物に保険をかけるか、補償が冷凍または湿気のリスクを含むかを確認する。
- 到着時にシールと表示を確認し、扉側、中央、上段のカートンの温度を測って写真に撮る。
- ロガーのデータをダウンロードし、測定値が範囲外ならリーファーの記録を依頼して、ただちに書面で通知する。
本ガイドは一般的な貿易情報であり、法律上・規制上の助言ではありません。要件は市場によって異なり、変更されることがあります。ご発注前に、通関業者または所管当局に最新の規則をご確認ください。





