ホタテ類はイタヤガイ科(Pectinidae)に属する二枚貝で、極域の海から熱帯まで数百種が知られています。商業規模に達するのはそのうちごく一部で、取引で「スカロップ(ホタテ)」といえば、通常は殻を閉じる丸く甘い閉殻筋、つまり貝柱1つを指します。国際取引でバイヤーが最もよく目にするのは、日本のホタテガイ、北米のバンク(浅堆)で獲れる大西洋ホタテ、そして養殖のペルーホタテです。一方、中国はホタテガイとベイスカロップを膨大な量で養殖しており、その多くは国内市場向けです。
本プロフィールでは、カートンの中身である貝そのものに目を向け、種の見分け方、市場ごとの呼び名、養殖や漁獲の方法、そして北海道からリマまでの厨房での使われ方をご紹介します。現在取り扱っている原産地、粒数、形態は冷凍ホタテのページに掲載しており、乾燥させた貝柱については干し貝柱(コンポイ)のページで取り上げています。
要点
- バイヤーが最もよく目にするホタテは、養殖のホタテガイ、天然の大西洋ホタテ、養殖のペルーホタテで、それぞれ殻、貝柱、卵に固有の特徴があります。
- 卵の色は性別で決まり、ホタテガイの卵は1個体1色ですが、ペルーホタテやベイスカロップのような雌雄同体の種では2色になります。
- 貝柱、サン・ジャック、ビエイラといった名称は複数の種にまたがるため、学名の提示を求めてください。
- コンポイはホタテの貝柱を乾燥させたもので、タイラギの貝柱は別の製品として、そのとおりに表示すべきです。
ホタテ類ならではの特徴
ホタテ類は、両側に小さな「耳」をもつまっすぐな蝶番でつながった扇形の2枚の殻をもち、多くの種には放射状の肋(ろく)があります。2つの閉殻筋で殻を閉じるクラムやムール貝と異なり、ホタテ類には殻の中央付近に大きな閉殻筋が1つあるだけです。この筋肉こそが、ホタテ類を二枚貝の中で特異な存在にしています。殻をすばやく閉じることで蝶番の脇から水を噴き出し、短い距離を勢いよく泳げるのです。泳ぐのはたいてい、ヒトデから逃れるためです。外套膜の縁には最大200個の小さな眼が並び、影や動きに反応できます。
貝柱を取り巻くオレンジ色またはクリーム色の三日月形の部分は生殖巣で、卵または「コーラル」として販売され、その色は個体の性別で決まります。ホタテガイは雌雄異体で、雌の卵はピンクからオレンジ色、雄はクリーム色から白色です。FAOは、ホタテガイがまず雄として成熟し、年齢とともに雌に転換すると説明しています。ペルーホタテ、ベイスカロップ、ヨーロッパのグレートスカロップは雌雄同体のため、卵には淡い雄の部分とオレンジ色の雌の部分が並んで見られることがあります。
ホタテ類の体のつくりがもたらす実務上の帰結の一つは、牡蠣やクラムと違って殻を固く閉じることができず、殻の中に水を保てないことです。海から揚げると乾燥してすぐに死んでしまうため、活ホタテは主に産地の近くで販売され、それ以外のほとんどは殻をむいて冷凍した状態でバイヤーの手に届きます。
主な商業用ホタテの種類
殻の形と色、貝柱の大きさ、卵を残すかどうかは、いずれも種の判別に役立ちます。次の表では、国際取引でバイヤーが最もよく目にするホタテ類を比較しています。学名は世界海洋生物種名録(WoRMS)の現行名を用い、書類に今も記載される旧学名も併記しました。
| 種 | 一般名・商品名 | 産地 | 主な取引形態 |
|---|---|---|---|
| Mizuhopecten yessoensis(旧学名Patinopecten yessoensis) | ホタテガイ(英名Yesso scallop、Japanese scallop)、日本ではホタテ | 北日本と中国北部で養殖。韓国とロシア極東でも少量を生産 | 大型の卵なし貝柱、ハーフシェル、殻付きボイル、干し貝柱 |
| Placopecten magellanicus | 大西洋ホタテ(シースカロップ)、アメリカンシースカロップ | 天然。北西大西洋の大陸棚で桁網により漁獲 | 大型の貝柱。大半はむき身の貝柱として水揚げ |
| Argopecten purpuratus | ペルーホタテ。ペルーではコンチャ・デ・アバニコ(concha de abanico) | ペルーとチリの静穏な湾で養殖 | 中型の貝柱で、卵付きが多い。ハーフシェル |
| Argopecten irradians | ベイスカロップ(アメリカイタヤガイ) | 米国の大西洋岸とメキシコ湾岸が原産。中国で大規模に養殖 | 小型の貝柱。冷凍または乾燥 |
| Scaeochlamys farreri(旧学名Chlamys farreri。取引や多くの文献では今もこちらが一般的) | ジーコンスカロップ(Zhikong scallop) | 中国北部で養殖 | 小型の貝柱。小粒の干し貝柱に加工 |
| Zygochlamys patagonica | パタゴニアホタテ | 天然。アルゼンチンの大陸棚 | 小型のIQF貝柱を大容量パックで |
| Amusium pleuronectes | アジアンムーンスカロップ | 天然。インド・西太平洋。主にトロールで漁獲され、混獲も多い | 薄く滑らかな殻からとった卵なし貝柱 |
| Pecten maximus | グレートスカロップ、キングスカロップ。フランスではコキーユ・サン・ジャック(coquille Saint-Jacques) | 天然。北東大西洋 | 殻付きの生鮮品または卵付き貝柱。主にヨーロッパ向け |
大型の種は、いくつかの外見上の手がかりで見分けられます。ホタテガイは、約20本の幅広く平たい肋をもつ白っぽい殻と、紫褐色の殻を1枚ずつもっています。大西洋ホタテは目立つ肋のない皿状の滑らかな殻をもち、NOAAによると上側の殻は赤みがかったピンクまたは茶色、下側の殻は白またはクリーム色です。ヨーロッパのグレートスカロップは、ピンクから赤褐色の平らな上殻と強くふくらんだ下殻を組み合わせ、はっきりした肋があります。アジアンムーンスカロップはまた大きく異なり、薄くほぼ円形で非常に滑らか、直径は約8cmで、上殻はピンクがかった茶色、下殻は白色です。
ホタテの産地:養殖場と天然の漁場
日本と中国のホタテガイ養殖は、主に天然の稚貝の採苗に支えられています。幼生ははえ縄に吊るした網入りの採苗器に付着し、稚貝はその後、2つの方法のいずれかで育てられます。北海道の噴火湾や青森の陸奥湾などで行われる垂下式養殖では、段重ねの丸かごやパールネットで育てるか、殻の耳に開けた小さな穴を通してロープに2枚1組で吊るします。北海道立総合研究機構によると、北海道のオホーツク海沿岸の主な方法である地まき放流では、約1年育てた稚貝を、輪採制で漁獲する複数の海底区画のいずれかに放流し、3~4年後に桁網で漁獲します。FAOは、垂下式のホタテは2~3年で約10cmに達し、地まきの貝はそれよりおよそ1年長くかかるとしています。
大西洋ホタテは天然資源です。ニューファンドランドからハッテラス岬にかけての砂や礫の海底に密集した貝床をつくり、NOAAによると、ジョージズバンクと中部大西洋では一般に水深約30~90mに生息しており、米国とカナダの船団が桁網で漁獲しています。米国水域では、漁獲枠の設定に加え、小型で成長の速いホタテが多い海域を閉鎖してのちに再開する方法で漁業が管理されています。ほとんどの漁船は、殻付きではなくむき身の貝柱を水揚げします。
ペルーホタテはペルーからチリにかけて自然分布し、静穏な湾で養殖されています。ペルー北部のセチュラ湾は主要な生産地の一つで、種苗の多くは今も天然の貝床から採取されています。ケープコッドからメキシコ湾にかけての米国沿岸が原産のベイスカロップは、1980年代初めに中国へ導入されて同国の主要な養殖種に成長した一方、米国の天然漁業は縮小しています。小型のパタゴニアホタテとアジアンムーンスカロップは天然漁業から供給されるため、供給量は養殖のサイクルではなく漁獲量に応じて変動します。
市場ごとのホタテの呼び名
市場での呼び名には、種を表すもの、サイズを表すもの、貝柱だけを指すものがあるため、ホタテに関する用語は読み違えやすくなっています。
- 日本:ホタテまたはホタテガイ(帆立貝)はホタテガイ(Yesso scallop)を指します。貝柱(かいばしら)は二枚貝全般の閉殻筋を意味するため、メニューに「貝柱」とあっても、ホタテ、タイラギ、あるいは別の二枚貝の貝柱である場合があります。
- 中国・香港:扇貝はホタテ類全般を表す言葉です。乾燥させた貝柱はコンポイ(conpoy)と呼ばれ、これは乾貝(「乾燥させた貝」)の広東語読みに由来します。瑤柱の名でも販売されています。
- ペルー:「扇の貝」を意味するコンチャ・デ・アバニコ(concha de abanico)がペルーホタテです。
- フランス:サン・ジャック(Saint-Jacques)は歴史的にグレートスカロップを指し、ペトンクル(pétoncle)はそれ以外のホタテ類、主に小型の種を指します。FAOのフランス語名では、ホタテガイはpétoncle du Japonです。
- スペイン:ビエイラ(vieira)がホタテ類全般を表す言葉で、FAOのスペイン語名もこれを基にしており、ホタテガイはvieira japonesa、パタゴニアホタテはvieira patagónicaとされています。
- 英国と米国:キングスカロップとクイーンスカロップはヨーロッパの種、シースカロップとベイスカロップはアメリカの種です。「ベイ」は種を表す名称で、単に小型のホタテ全般を指すわけではありません。
干し貝柱(コンポイ)
コンポイ(干し貝柱)は、ホタテの貝柱を煮てから硬い琥珀色になるまで乾燥させたもので、生の貝柱と同じ甘みを凝縮した形といえます。基準となる製品は北海道と青森でホタテガイから作られており、中国北部も養殖のホタテガイや小型のホタテ類から干し貝柱を供給しています。香港ではタイラギ(Atrina pectinata、江珧)の乾燥貝柱も販売されていますが、これは別の生物であり、その名称で表示すべきものです。
広東料理の料理人は干し貝柱を水で戻してほぐし、粥、スープ、炒め物、煮込みに加えます。干し貝柱は、香港生まれの唐辛子入りの調味料であるXO醤に欠かせない材料でもあり、通常は干しエビとともに使われます。原産地、サイズ等級、加工、品質の確認については、干し貝柱バイヤーズガイドで解説しています。
厨房でのホタテの調理法
NOAAはシースカロップの風味を、甘く濃厚で、穏やかなこともあれば潮の香りが強いこともあり、締まった脂の少ない食感と表現しており、ホタテガイも同様です。どちらの種でも大粒の貝柱は表面を焼き付ける調理の定番で、表面の水気を除き、ごく高温のフライパンで焼くことで、中心にちょうど火が通ったところで表面にこんがりと焼き色がつきます。日本の厨房ではホタテガイの貝柱を刺身や握りとして生で提供しますが、それには生食用に指定されたロットが必要です。
- フランス:殻にのせてクリーミーなソースとパン粉をかけて焼くコキーユ・サン・ジャックや、卵を添えて供する貝柱のポワレ。
- ペルー:コンチータス・ア・ラ・パルメサーナ(conchitas a la parmesana)。ハーフシェルのホタテにパルメザンチーズ、バター、ライムをのせ、きつね色になるまで焼いた料理です。
- 中国:揚げたニンニクをたっぷりのせ、戻した春雨を敷いたハーフシェルのホタテの蒸し物。
卵付きの貝柱はコーラルが彩りを添えるフランス料理やペルー料理で一般的ですが、寿司カウンターでは貝柱だけを使います。冷凍の貝柱について、厨房で最も重要となる判断、つまりドライか処理済みか、そして粒数の等級については、冷凍貝類の仕入れガイドで説明しています。
ホタテの見分け方:代替品と表示
殻をむいてしまえば、殻による手がかりは失われます。貝柱の大きさが役立つのは両極端の場合だけで、非常に大きな貝柱はホタテガイ、シースカロップ、グレートスカロップを、非常に小さな貝柱はベイスカロップ、ジーコンスカロップ、パタゴニアホタテ、ムーンスカロップを示唆します。卵付きの製品であれば候補を絞り込めます。ホタテガイの卵は1個体につき1色であるのに対し、雌雄同体の種では2色に分かれるためです。それ以上は、オファーに記載された学名と原産地をラベルと照合し、疑いが残る場合はDNA検査に頼ってください。
警戒すべき代替には2種類あります。小型で安価な種を高級種の名称で販売するケースと、他の二枚貝の貝柱を単に「ホタテ」として販売するケースです。どちらも金銭的な損失を招き、商品名の規則に違反するおそれもあります。貝毒は貝柱ではなく内臓や卵に蓄積するため、殻付きや卵付きのホタテは、貝柱だけの製品よりも漁獲記録に一層の注意を払う必要があります。種をまたいで混同されやすい別の貝類については、姉妹編の牡蠣の種類ガイドをご覧ください。種どうしを比べる準備が整いましたら、種と原産地を指定してお見積もりをご依頼ください。
本ガイドは一般的な貿易情報であり、法律上・規制上の助言ではありません。要件は市場によって異なり、変更されることがあります。ご発注前に、通関業者または所管当局に最新の規則をご確認ください。






