ツブ貝(ホエルク)と巻貝(コンク)は、筋肉質の足を身として食べる大型の海産巻貝の市場名です。北大西洋でツブ貝といえば通常はヨーロッパバイ(コモンホエルク、Buccinum undatum)を指しますが、コンクという言葉ははるかに緩やかに使われ、熱帯の海に生息する本来のコンクにも、より立派な名前で販売される大型のツブ貝にも用いられます。BSA Food Products はこの貝を2つの形態で取り扱っています。ボイルむき身と殻付きボイルは冷凍ツブ貝のページに、広東料理のスープに使うスライスと丸ごとの乾燥むき身は干しツブ貝・巻貝のページに掲載しています。
本プロフィールでは、市場に出回る種、その生態と漁場、ヨーロッパ、北米、アジアでの呼び名、それぞれに適した形態と料理を取り上げます。特に、国際取引がワシントン条約(CITES)で規制されているカリブ海の種クイーンコンクと、ツブ貝や巻貝と表示されたカートンに別の巻貝が紛れ込むのを防ぐための確認事項に重点を置いています。
要点
- ツブ貝(ホエルク)や巻貝(コンク)はいくつもの巻貝の科にまたがる取引名であり、その貝が何かを特定できるのは学名だけです。
- ヨーロッパバイは北大西洋の冷たい海に生息する種で、餌を入れたかごで漁獲され、主に東アジアへ出荷されます。
- クイーンコンク(Aliger gigas、CITESでの掲載名はStrombus gigas)はCITES附属書IIの掲載種であり、BSA Food Products ではご提供していません。
- Neptunea属のツブ貝は、含まれるテトラミンが通常の加熱では失われないため、唾液腺を除去して加工されます。
ツブ貝か巻貝(コンク)か:名称の意味
どちらの言葉も、軟体動物のうち巻貝の仲間である腹足類を指しますが、生物学者は業界よりも厳密に使い分けています。本来のツブ類は主にエゾバイ科(Buccinidae)に属し、二枚貝や死骸を餌とする冷水性の捕食者・腐肉食者です。本来のコンクはソデボラ科(Strombidae)に属し、藻類や海草を食べる暖海性の貝で、殻の外唇が大きく張り出すように成長します。この線引きをまたぐ巻貝もあります。アカニシはアクキガイ科(Muricidae)の貝であり、米国大西洋岸のノブドホエルクとチャネルドホエルク(科はBusyconidae)はコンクとして販売されています。
これらの巻貝はいずれも、足の後端にふた(蓋)と呼ばれる角質の板をもち、ツブ類ではこれで殻の口を閉じます。加工業者は内臓とともにふたを除去します。バイヤーが受け取るのは足の筋肉で、身は締まって色が淡く、ほのかな甘みがあり、歯ごたえは種と加熱の仕方によって、弾力のあるものから噛みごたえのあるものまでさまざまです。
| 種 | 学名 | 生息域 | 市場への流通 |
|---|---|---|---|
| ヨーロッパバイ(コモンホエルク) | Buccinum undatum | 北大西洋。沿岸から大陸棚の深場まで | 餌を入れたかごで漁獲。ボイルむき身、殻付きボイル、缶詰 |
| レッドホエルクなどのエゾボラ属 | Neptunea spp. | 北大西洋と北太平洋 | 日本で「ツブ」と呼ばれるグループの一部。唾液腺を除去 |
| アカニシ | Rapana venosa | 東アジアの海が原産。黒海に定着 | 黒海の漁獲物を東アジアへ出荷 |
| ノブドホエルク、チャネルドホエルク | Busycon carica、Busycotypus canaliculatus | 米国大西洋岸 | コンクまたはスクンジリとして販売 |
| スポッテッドバビロン | Babylonia areolata | タイランド湾を含む東南アジアの沿岸 | タイで天然物をかごで漁獲するほか、養殖も |
| クイーンコンク | Aliger gigas(CITESでの掲載名はStrombus gigas) | カリブ海全域の砂地と海草藻場 | CITES附属書II。輸出許可が必要 |
ヨーロッパバイの生態と漁業
ヨーロッパバイは北大西洋の両岸に生息し、東側では英国、アイルランド、フランス、ノルウェー、アイスランドの周辺に、西側では南はニュージャージーまで分布します。生息水深は潮間帯の下部から数百メートルに及びますが、多くは水深200mより浅い場所で見られます。殻高は約10cmに達しますが、大きさや形は海域によってかなり異なります。
ツブ類は生きた二枚貝を捕食し、死んだ魚やカニをあさって食べるため、漁業では餌を入れたかごを使い、餌にはツノザメ類やヨーロッパイチョウガニ(ブラウンクラブ)がよく用いられます。雌はレンズ豆のような形の卵嚢を塊にして岩や貝殻に産みつけ、冷たい海で数か月を過ごした後、浮遊幼生の段階を経ずに、小さなツブ貝の姿で這い出してきます。浜に打ち上げられた空の卵塊は、シーウォッシュボールと呼ばれています。
こうした直接発生は、漁業管理のあり方を左右します。稚貝は親の近くに定着するため、資源は多数の小さな地域個体群として振る舞い、成熟サイズも短い距離で変わることがあります。英国とEUの海域における基本の最小水揚げサイズは殻長45mmですが、ウェールズの65mmのように、より高い基準を設けている当局もあり、多くの当局が許可制、かごの数の制限、禁漁期を追加しています。英国のツブ貝漁業は、東アジア、とりわけ韓国での需要の高まりを受けて2000年代初め以降に拡大し、漁獲の大半はこれらの市場に輸出されています。
ツブ貝と巻貝(コンク)の産地
ヨーロッパバイは英国諸島、フランス(bulot(ビュロ)の名で販売)、カナダ東部で漁獲されています。韓国は主に英国とアイルランドから、少量をノルウェーとカナダからツブ貝を輸入しており、その多くを塩水またはたれで缶詰にします。缶詰のツブ貝は、コルベンイムチム(golbaengi-muchim)と呼ばれる辛い和え物を手早く作るための定番の材料です。
エゾボラ属(Neptunea属)のツブは北太平洋と北大西洋で獲れ、日本と韓国で食べられています。その唾液腺には、通常の加熱では分解されない天然毒テトラミンが含まれるため、日本の食品安全に関する指導では加熱前に唾液腺を切り取るよう求めており、加工業者は通常の工程としてこれを除去しています。レッドホエルク(Neptunea antiqua)はヨーロッパバイと混同されることがあり、これもツブ貝の書類で種名が重要となる理由の一つです。
アカニシは日本海とその周辺の東アジアの海域が原産です。1940年代に黒海で見つかり、現在ではそこで大量に漁獲されています。ブルガリア、ジョージア、ルーマニア、トルコ、ウクライナは地中海漁業一般委員会の調査プログラムのもとで資源を共同調査しており、漁獲の多くは東アジアへ逆輸出されています。米国大西洋岸では、ノブドホエルクとチャネルドホエルクが餌を入れたかごで漁獲されてコンクとして販売され、スポッテッドバビロンはタイランド湾で天然物が漁獲されるほか、養殖も行われています。
クイーンコンクとCITES:バイヤーが知っておくべきこと
クイーンコンク(Aliger gigas)は、バハマを含むカリブ海全域に生息する、殻の外唇がピンク色の大型のコンクです。CITESの附属書や多くの取引書類では今もStrombus gigasと表記され、Lobatus gigasを用いる文献もあります。成貝は砂地で藻類を食べ、稚貝は海草藻場に身を隠します。米国海洋大気庁の漁業部門(NOAA Fisheries)によると、大きさは最大約30cm、寿命は25~30年です。
その生態ゆえに、クイーンコンクは乱獲に陥りやすい貝です。コンクは性成熟のころに殻長の伸びが止まり、それ以降は殻の外唇が厚くなるだけなので、殻長からは繁殖を経た個体かどうかがほとんどわかりません。NOAA Fisheriesが2024年に公表した指定規則では、多くの国・地域のサイズ規制ではいまだに未成熟のコンクの水揚げが認められていること、そしてほとんどの国・地域で成貝の密度が、交尾相手を見つけるのに必要な1ヘクタールあたり約100個体を下回っていることが指摘されています。
クイーンコンクは1992年からCITES附属書IIに掲載されています。国際的な出荷には輸出国のCITES管理当局が発行する輸出許可書が必要で、許可書は合法的に入手され、かつ輸出が種の存続を脅かさないコンクについてのみ発行できます。また、CITESは一部の生息国との取引停止を勧告しており、その勧告が現在も有効な国もあります。2024年には、米国も自国の絶滅危惧種法(Endangered Species Act)に基づき、クイーンコンクを「絶滅のおそれのある種(threatened)」に指定しました。輸出国や輸入国の国内規則はCITESよりも厳しい場合があるため、最新の状況は自国の当局にご確認ください。
ツブ貝・巻貝(コンク)の市場形態
殻ごとボイルすると筋肉が固まり、丸ごと引き出せるようになるため、ツブ貝の多くは冷凍や乾燥の前に加熱されます。取引される主な形態は次のとおりです。
- 冷凍ボイルむき身:殻を除き、ふたも取り除いたもので、IQFまたはブロック凍結です。韓国の缶詰メーカー、サラダメーカー、業務用向けの標準的な輸出形態です。
- 殻付きボイル:殻ごと冷凍したツブ貝で、見栄えが重視される海鮮盛り合わせや小売パックに使われます。
- 缶詰:ボイルむき身を塩水または味付けしたたれに詰めたもので、韓国の家庭でおなじみの常備品です。
- 干し巻貝スライス:足の筋肉を薄い輪切りにして硬く乾燥させたもので、広東語では螺片(lo pin)と呼ばれ、じっくり煮込むスープに使われます。
- 丸ごとの干しツブ貝のむき身:スライスしていない乾燥した足で、厨房で戻してから切り分けます。
グレーズ、入り数による格付け、その他の冷凍形態については冷凍貝類の仕入れガイドでご説明しています。乾燥スライスを良好な状態で保つための条件は、水産乾物の保管ガイドにまとめています。
ツブ貝・巻貝(コンク)の調理法
ボイル済みのツブ貝は、さらにゆでると身が締まって硬くなるため、温める程度にするか冷たいまま提供すれば十分ですが、乾燥スライスは例外です。この貝は、まったく異なるさまざまな料理に登場します。
- 英国:酢をかけて食べることの多いゆでたツブ貝は、ロンドンや海辺の海鮮屋台の伝統的な軽食です。
- 韓国:缶詰のツブ貝を辛い唐辛子だれと野菜で和え、細いソミョン(somyeon)を添えたコルベンイムチムは、アンジュ(anju)、つまり酒のつまみの定番です。
- 日本:ツブと呼ばれるグループのツブ貝は、煮付け、焼き物、寿司として供されます。
- イタリア系アメリカ料理:ノブドホエルクやチャネルドホエルクの身をスライスしたスクンジリ(scungilli)は、古くから海鮮料理に使われてきた食材です。
- 広東料理:干し巻貝スライスは澄んだスープで何時間も煮込まれ、ほかの水産乾物と合わせることもよくあります。
中華料理用にツブ貝を仕入れる厨房では、アワビもあわせて仕入れることがよくあります。同じく珍重される海の巻貝であるアワビについてはアワビの種類ガイドで解説しており、冷凍アワビとして販売しています。
ツブ貝の種の見分け方:品質と表示の確認
殻を除いた巻貝のむき身はどれもよく似ているため、種の特定は書類で、品質は検品で判断します。
- すべての書類に学名を記載:コンク、シースネイル、ツブ貝といった名称では種を特定できず、毒のリスクも法的な位置づけも種によって決まります。
- 唾液腺の除去:Neptunea属のロットでは唾液腺が切除されていることをパッカーに確認し、種名なしで提示されたツブ貝についても同じ確認を求めてください。
- ふたと殻:ボイルむき身はふたが除去された状態で届き、解凍したサンプルに殻の破片がないことが求められます。
- 臭い:清潔な磯の香りであること。酸っぱい臭いや強いアンモニア臭は、取り扱いの不備を示しています。
- 乾燥スライス:厚みと色が均一で、焦げ、カビ、砂がないこと。
- 貝毒:ツブ類は二枚貝を食べるため、そこから麻痺性貝毒を蓄積することがあり、巻貝についても検査結果を求める輸入国があります。
既存の製品からの切り替えをご検討ですか?当社が合法的に供給できる製品と照合しますので、現在のラベルとご希望の種をお送りください。乾燥品に必要な書類については、水産乾物の輸入に関するガイドで概要をご紹介しています。
本ガイドは一般的な貿易情報であり、法律上・規制上の助言ではありません。要件は市場によって異なり、変更されることがあります。ご発注前に、通関業者または所管当局に最新の規則をご確認ください。





