タラバガニとズワイガニは、同じメニューの両端に位置する商品です。タラバガニは見た目の迫力で売れ、太くとげのある脚を客席で割って供されます。ズワイガニは値ごろ感で売れ、細身のクラスターがビュッフェ、クラブボイル、冷凍食品の販促を支えています。どちらも天然の漁獲物で、主要な漁業では漁獲枠によって管理され、通常は水揚げ後まもなくボイルされて凍結されます。そしてどちらも、初めてのバイヤーを戸惑わせるような方法で格付けされています。
本ガイドでは、種、製品形態、サイズ等級、身入りとグレーズ、漁獲関連書類、保管と解凍、オファーの比較方法を取り上げます。BSAはタラバガニとズワイガニを在庫として保有せず、漁期ごとに書面のご依頼仕様に基づいて調達していますが、以下の確認事項はどのオファーにも当てはまります。
要点
- すべてのカニを学名で特定します。キングクラブ(タラバガニ類)の各種と、ズワイガニのオピリオとバルダイは、サイズ、身入り、価格が異なります。
- 各サイズ等級を、単位、グレーズの基準、爪の扱い、許容差、折れた脚を含めて書面で定義します。
- オファーは正味1kgあたりで比較し、解凍したサンプルで測定した身入りで補正します。
- 漁獲関連書類、漁獲原産地、加工の流れを、漁期ごとに貴市場の現行規則と照合します。
- -18°C以下の安定した温度で保管し、冷蔵庫内でゆっくり解凍して、ボイル済みのカニは軽く温める程度にとどめます。
取引される種
市場での呼び名は大まかに使われているため、確実に種を特定できるのは学名だけです。キングクラブ(タラバガニ類)はタラバガニ科(Lithodidae)に、ズワイガニ類はChionoecetes属(ズワイガニ属)に属します。
- レッドキングクラブ(タラバガニ、Paralithodes camtschaticus):最も大きく価値が高く、脚も最も重い種で、北太平洋のほか、移入された個体群としてバレンツ海でも漁獲されます。
- ブルーキングクラブ(アブラガニ、Paralithodes platypus):北太平洋の小規模な漁業から供給され、加熱するとレッドと似た色になるため、レッドとあわせて販売されることがよくあります。
- ゴールデン(ブラウン)キングクラブ(イバラガニモドキ、Lithodes aequispinus):より深い海に生息する種で、殻はオレンジがかった金色、脚は小ぶりで、通常はレッドより安値で取引されます。
- サザンキングクラブ(Lithodes santolla):チリとアルゼンチンで漁獲され、現地ではセントージャ(centolla)と呼ばれます。バイヤーの要望がある場合に検討する価値があります。
- オピリオ(ズワイガニ、Chionoecetes opilio):商業的に最も主要なズワイガニで、長く細い脚を持ち、北大西洋と北太平洋で水揚げされます。
- バルダイ(オオズワイガニ、タナークラブ、Chionoecetes bairdi):オピリオより大きく重い種で、一部の漁期にしか解禁されない北太平洋の漁業から供給されます。
似た名称は他のカニにも使われています。たとえば北西太平洋のベニズワイガニ(Chionoecetes japonicus)は、その固有の名称で販売されるべきものです。オファーの学名がカートンと書類の記載と一致していることを必ず確認してください。
製品形態:姿ガニ、クラスター、脚、むき身
カットの形態によって、カニの格付けの方法、代金を支払う殻の量、厨房で省ける手間が決まります。
- 姿ガニ:丸ごとボイルして凍結したもので、陳列や宴会向け。1尾ごとの重量で格付けされます。
- クラスター(セクション):肩でつながったカニの半身で、タラバガニでは歩脚3本と爪1本、ズワイガニでは歩脚4本と爪1本からなります。
- 脚とハーフカット脚:爪付きまたは爪なしのタラバガニのシングルレッグ、またはグリルや盛り合わせにすぐ使えるよう縦に割った脚。
- むき身と爪:脚の長い上部の節から取るメルス肉(棒肉)は、殻を除いたむき身の中で最上位の部位で、脚肉と胴肉を混ぜたむき身より上に位置づけられます。ズワイガニには、爪先より上の殻を外したり切れ目を入れたりしたカクテルクローもあります。
標準的な形態はボイル・ブライン凍結です。カニを塩水でボイルして冷却し、非常に冷たいブラインに浸して素早く均一に凍結してからグレーズを施すため、解凍するだけで使えます。生冷凍のカニは、主に蒸し物、焼き物、鍋料理に使うアジア市場向けに少量生産されるもので、中心まで加熱する必要があり、取り扱いが不十分だと身が変色することがあります。両者はメニュー上で置き換えがきかないため、ご依頼仕様にはどちらを希望するかを明記してください。
サイズ等級と、書面で定義が必要な理由
カニは重量で格付けされますが、その慣行は種、形態、産地によって異なります。タラバガニの脚は通常、10ポンド箱あたりの本数で数えられ、箱を満たすのに必要な本数が少ないほど、1本1本が大きくなります。タラバガニのクラスターと姿ガニは1個あたりの重量で、ズワイガニのクラスターは重量帯で格付けされ、北米の取引ではオンス、メートル法の市場ではグラムで表されます。
そこに誤解の余地が生まれます。脚の本数はグレーズ込みの箱重量と正味重量のどちらで測るのか。爪は本数に含めるのか、別包装か、除外されるのか。10オンス以上のクラスター等級は、すべてのクラスターに適用されるのか、平均に適用されるのか。重量帯から外れてよいのは何個までか、折れた脚は数に入るのか。こうした問いへの答えは産地によって異なり、ある答えを前提にしていたバイヤーが別の答えに沿った製品を受け取っても、クレームを認めさせるのは困難です。
身入りとグレーズ
同じ重量の2つのクラスターでも、身の量が大きく異なることがあります。カニは脱皮によって成長し、新しく大きくなった殻を身で満たすには時間がかかります。それまでは身がゆるく、水っぽくなりがちです。そのため身入りは漁期や漁場によって変わり、1kgあたりで最も安いオファーが、1皿あたりでは最も高くつくこともあります。ゴールデンキングクラブは一般にレッドより身入りが少なく、これが両者の価格差の一因となっています。
身入りを確かめるには、複数のカートンから脚やクラスターを取り出して解凍し、メルス(長節)とその他の節に沿って殻を縦に切り開きます。身入りのよいものは身が殻に押し付けられるように詰まっており、身入りの悪いものには、すき間、縮み、筋っぽく水っぽい身が見られます。比較できる数値を得るには、解凍したサンプルを計量し、身をすべて取り出して再度計量してください。パッカーの歩留まりデータも参考になりますが、基準となるのは自社での試験です。
ブライン凍結のカニには保護用のグレーズが施されており、その比率は計算基準とあわせて明記されるべきです。価格は正味1kgあたりで比較してください。当社の冷凍エビの規格に関するガイドで紹介しているグレーズ除去の方法はカニにも使えます。中の身を解凍しないよう、殻の表面と切り口から氷がなくなるまですすぎ、決まった時間だけ水を切ってから計量します。
漁獲関連書類、合法性、トレーサビリティ
タラバガニ類とズワイガニ類はすべて天然の漁獲物で、ほとんどの漁業は漁獲枠、漁期、最小サイズ、そして多くの場合は雌の水揚げ禁止のもとで操業しています。漁獲枠は通常、資源調査に基づいて漁期ごとに設定され、不漁の年に全面的に閉鎖された漁業もあります。そのため供給量、サイズ構成、価格は漁期によって大きく変動しうるうえ、合法性は推定するのではなく、証明されなければなりません。
必要な書類は仕向地が定めるもので、変更もされます。EUをはじめ一部の市場では、天然水産物について、漁船の旗国が検認した漁獲証明書を求めています。独自のトレーサビリティ制度を運用している市場もあれば、特定の原産地の水産物を制限または禁止している市場もあり、その場合、原産地はカニが加工された場所ではなく漁獲された場所で判断されることがあります。契約前に、そして漁期ごとに改めて、所管当局または通関業者に現行の規則を確認してください。オファーには次の事項が明記されているべきです。
- 学名による種と、ボイル済みか生か
- 漁獲海域、漁船名と船籍、水揚げ日
- カニをボイル・包装した加工場とその所在国
- カートンを生産記録と漁獲記録にひも付けるロットコード
- 貨物に添付される書類(積み込み前に草案を提示)
ある国の船団がカニを漁獲し、別の国で加工される場合は、積み替えも含めて流通経路の全体を確認してください。途中に空白があるだけで、当局が貨物を留め置く理由になりうるからです。また、小売用の表示では、各市場が求める形式で甲殻類をアレルゲンとして表示しなければなりません。当社の輸出スペシャリストが、予定している原産地と書類一式を、事前に通関業者の方と確認することもできます。
タラバガニとズワイガニの比較、そしてオファーの比較
多くのディストリビューターは、役割を分けて両方のカニを扱っています。下表は一般的な違いをまとめたもので、個々のロット、産地、漁期によって異なります。
| 項目 | タラバガニ | ズワイガニ |
|---|---|---|
| 主な種 | レッド、ブルー、ゴールデン。サザンはご要望に応じて | オピリオ。バルダイは少量 |
| 主な産地 | 北太平洋、バレンツ海、南米 | カナダ大西洋岸、グリーンランド、ノルウェー、アラスカ |
| 脚と殻 | とげのある厚い殻と非常に大きな脚。殻を切るはさみが必要 | 薄い殻と細い脚。身が簡単に抜ける |
| 主な形態 | 脚、クラスター、ハーフカット脚、メルス肉、姿ガニ。一部の産地からは活ガニ | クラスター、カクテルクロー、むき身、姿ガニ |
| サイズの格付け | 脚は10ポンド箱あたりの本数、クラスターと姿ガニは1個あたりの重量 | クラスターはオンスまたはグラムの重量帯 |
| 相対的な価格 | 1kgあたりの価格が高い。ゴールデンはレッドより安い | 1kgあたりの価格が大幅に安い |
| 主な用途 | 看板料理、脚を丸ごと見せる盛り付け、行事シーズンの小売 | ビュッフェ、クラブボイル、カジュアルダイニング、販促 |
価格を比較する前に、種と産地、形態、同じ単位と重量基準による等級、正味1kgあたりの価格、インコタームズの条件をそろえ、オファーを共通の基準に置いてください。そのうえで、価格の陰に隠れている要素、すなわち自社の試験で確かめた身入り、折れた脚の割合、製造日、用意できる書類を比較検討します。前の漁期のカニでも、良好な冷凍保管がなされていれば品質にまったく問題がないこともありますが、その旨を明記し、それに見合った価格を付けるべきです。これらの点を盛り込んだご依頼仕様を当社のお見積もりフォームからお送りいただければ、1行ずつ比較できるオファーをお返しします。
保管、解凍、提供
冷凍ガニは-18°C以下で保管し、長期保管では、パッカーが推奨する場合は-25°C前後のより低温の保管に移してください。設定温度と同じくらい重要なのが温度の安定です。温度が変動するたびにグレーズが昇華して身から水分が抜け、露出した端が乾燥して、白く繊維状の冷凍焼けが生じます。ケースは閉じたまま冷凍庫の扉から離して置き、在庫は先入れ先出しで回転させてください。
解凍は冷蔵庫内でゆっくりと行い、解凍水が流れ落ちるよう、トレーの上に置いたラックに載せてください。大きな脚やクラスターは一晩以上かかります。時間がないときは密封袋に入れて冷たい流水で解凍する方法も使えますが、室温での解凍は決して行わないでください。長時間加熱すると身が硬くなるため、ボイル済みのカニは冷たいまま提供するか、蒸すか焼くかして軽く温めるだけで十分です。一方、生のカニは中心まで加熱しなければなりません。解凍したカニは再凍結せず、自社の食品安全計画が定める期限内に使用してください。
出荷前と着荷時のチェックリスト
カニをめぐる紛争の多くは、コンテナが封印される前に防ぐことができます。出荷前には次の点を確認します。
- 種、漁獲海域、船籍、加工場を、貴市場の現行規則と照合する。
- 書類の草案で、種名、重量、ロットコードが一致しているかを確認する。
- 等級の定義、グレーズの基準、正味重量、欠陥の許容限度、クレーム期間を書面で合意する。
- カートンの表示が見える状態で生産ロットの写真を求め、新しいパッカーの場合はサンプルまたは歩留まりデータも求める。
- リーファーコンテナの設定温度を確認し、温度ロガーが貨物とともに輸送されることを確かめる。
着荷時には、各結果をロットコードごとに記録します。
- ロガーのデータをダウンロードし、積み荷の複数の位置で製品温度を測定する。
- カートンのつぶれ、湿り、内部の霜を確認し、表示をパッキングリストと照合する。
- 複数のパレットから取ったサンプルのグレーズを除いて計量し、正味重量を確認する。
- 本数または重量帯を合意した定義と照合し、折れた脚や欠けた脚を記録する。
- サンプルを解凍して身入り、色、におい、乾燥を評価し、試食する。
- 所見を撮影し、合意したクレーム期間内にサプライヤーに通知する。
本ガイドは一般的な貿易情報であり、法律上・規制上の助言ではありません。要件は市場によって異なり、変更されることがあります。ご発注前に、通関業者または所管当局に最新の規則をご確認ください。





