コウイカはコウイカ科(Sepiidae)の頭足類で、海底のすぐ上に浮かぶように泳ぎ、一瞬で体色を変え、甲(カトルボーン)と呼ばれる多孔質の内殻をもつ、幅広い体の動物です。胴(外套膜)はイカより厚く、甲と皮を取り除くと、切れ目入れ、揚げ物、長時間の煮込みにも形を保つ、密度の高い白い身が得られます。BSA Food Products は、姿、フィレ、短冊の冷凍コウイカと、スープや煮込み用の原形の干しコウイカを販売しています。
本プロフィールでは、コウイカの見分け方、取引の中心となる種とその学名が最近どのように変わったか、生息域と漁法、主要市場での呼び名、そして地中海から東アジアまでの厨房で身と墨がどう使われているかを解説します。
要点
- W字形の瞳孔、胴を取り巻くスカート状のヒレ、石灰質の甲があればコウイカです。イカは甲の代わりに透明な軟甲をもっています。
- WoRMSは現在、トラフコウイカ、ニードルカトルフィッシュ、コウイカ(ゴールデンカトルフィッシュ)をAcanthosepion属に分類していますが、ラベルでは今もSepia属が広く使われています。
- コウイカはヨーロッパ、アフリカ、アジア、オーストラリアの沿岸に生息しますが、南北アメリカにはいません。
- 厚く白いコウイカの身は切れ目入れ、揚げ物、墨煮に向き、その茶色の墨は黒いリゾットの定番の材料です。
コウイカの見分け方
コウイカを見分ける特徴は3つあります。目には滑らかに曲がったW字形の瞳孔があります。細いヒレが胴の縁のほぼ全周をスカートのように取り巻き、これを波打たせることでどの方向にも進路を変えられます。そして背中の内側には甲があります。甲はアラレ石(アラゴナイト)でできた軽い石灰質の楕円形の板で、細かな小室に仕切られており、コウイカはその中の気体と液体の割合を調節して浮き沈みします。
イカと同じく、コウイカも8本の腕に加え、獲物を捕らえるための、より長い2本の触腕を備えています。大きさは種によって大きく異なり、Sepiella属には胴長約13cm未満にとどまる種がある一方、最大級の種であるオーストラリアのジャイアントカトルフィッシュは胴長約50cm、体重10kg超に達します。タコはヒレも殻も触腕もないため、簡単に区別できます。
コウイカと最もよく間違えられるのは、アオリイカ(Sepioteuthis lessoniana)です。インド太平洋に生息し、厚い楕円形のヒレが胴のほぼ全体を包んでいます。しかしアオリイカは正真正銘のイカで、切り開くと甲ではなく薄く透明な軟甲が見つかり、瞳孔もW字形ではありません。ほかのイカの科についてはイカの種類ガイドで解説しており、当社が供給するイカの種は冷凍イカのページに掲載しています。
コウイカの種類とSepia属の学名変更
世界海洋生物種名録(WoRMS)は、100を超えるコウイカの種を認めています。最近までその多くがSepia属に分類されていましたが、2023年に発表されたコウイカ科の系統関係に関する研究によってこの属は分割され、現在WoRMSではトラフコウイカ、ニードルカトルフィッシュ、コウイカ(英名ゴールデンカトルフィッシュ)がAcanthosepion属に分類されています。ヨーロッパコウイカはSepia officinalisの学名をそのまま保っています。公式の表示リストや取引書類はこの改訂に追いついていない場合があり、当社の製品ページでも今なおなじみのSepia属の学名を使用しているため、貴市場のリストが認める学名を使い、役立つ場合には新しい学名を併記してください。
| 一般名 | 学名 | 分布 | 備考 |
|---|---|---|---|
| ヨーロッパコウイカ | Sepia officinalis | ノルウェーからアフリカ北西部までの東大西洋と地中海 | 胴長は温帯域で最大約49cm、亜熱帯域で約30cm |
| トラフコウイカ | Acanthosepion pharaonis(Sepia pharaonis) | 紅海とペルシャ湾から東は日本とオーストラリア北部まで | 胴長は最大約43cm、体重5kg。おそらく複数の種を含む |
| ニードルカトルフィッシュ | Acanthosepion aculeatum(Sepia aculeata) | インド南部から東は日本とフィリピンまで | 主にトロール網で漁獲 |
| コウイカ(ゴールデンカトルフィッシュ) | Acanthosepion esculentum(Sepia esculenta) | 日本、韓国、中国から南はフィリピンとインドネシアまで | 胴長は約18cmまで。日本でいうコウイカ |
| スパインレスカトルフィッシュ | Sepiella inermis | インド洋から東はインドネシアと南シナ海南部まで | 小型で、胴長は最大約12.5cm |
| シリヤケイカ | Sepiella japonica(中国の多くの研究ではS. maindroniとして報告) | 日本、韓国、中国 | かつて浙江省の漁業の主力だったコウイカ。乱獲で資源が減少 |
コウイカの生息域と漁法
コウイカはヨーロッパ、アフリカ、中東、南アジア、東アジア、オーストラリアの沿岸に生息し、多くは浅い海にすみますが、数百メートルの深さで見つかる種もあります。南北アメリカには分布しないため、アメリカ大陸の漁獲海域が申告されたコウイカは改めて確認する価値があります。ほとんどの種は砂地や泥底の上、またはそのすぐ上で過ごし、海底近くで獲物を狩ります。
コウイカの一生は短いものです。ヨーロッパコウイカの寿命は1~2年で、通常は産卵後まもなく死にます。春から夏にかけて浅い沿岸域に移動して繁殖し、秋から冬には水深約100mの大陸棚中央部へ戻ります。漁獲の大半は、対象漁獲と混獲の両方で底引き網によるもので、かごやケージ型の漁具も使われます。
トラフコウイカは分布域全体で産業規模の漁業と小規模漁業を支えており、ペルシャ湾とアンダマン海の漁獲で特に多く見られます。中国東部沖では、かつて浙江省の漁獲の中心だったシリヤケイカが乱獲によって減少し、資源回復のため2000年代後半から人工生産した稚イカの放流が行われています。
各市場でのコウイカの呼び名
Sepiaはコウイカを意味するギリシャ語・ラテン語で、かつてこの動物の墨から作られた赤褐色の顔料を指す英語のセピア(sepia)の語源にもなりました。ロマンス諸語にはこの語の近い親類が残っており、イタリア語ではseppia、スペイン語ではsepia、フランス語ではseicheといい、ポルトガル語ではchocoを使います。日本ではゴールデンカトルフィッシュをコウイカと呼び、中国語のメニューでは墨魚(文字どおりには「墨の魚」)または烏賊と書かれます。台湾では、おなじみの屋台料理であるコウイカのとろみスープを通じて、この動物が最もよく知られています。
コウイカの市場形態:冷凍、乾燥、墨
- 姿(ラウンド)冷凍:内臓を抜かず墨袋も残したもので、墨を使って調理する厨房向けです。
- 下処理済みの姿:甲、内臓、墨を除去したもので、皮付きと皮なしがあり、グリルや詰め物に使います。
- フィレ、短冊、切れ目入りカット:開いて皮をむいた胴を、揚げ物、炒め物、火鍋用にカットしたものです。
- 原形の乾燥品:下処理した胴を平らに開いて乾燥させたもので、広東料理のスープで煮込んだり、戻してから煮込み料理にしたりします。
- 裂いた乾燥品:焙焼して細く裂いたコウイカで、東アジアで人気のスナックです。
- 墨:墨袋から取り出して小分けパックで販売され、米料理、パスタ、ソースの色付けと風味付けに使われます。
調理用として販売される墨はコウイカのものもイカのものもあり、イタリアの黒いリゾットやパスタの定番であるコウイカの墨は茶色を帯び、イカの墨は青みがかった黒色です。宝飾職人は、洗浄したコウイカの甲を小さな金属製品を鋳造する型としても使います。乾燥した胴の色と香りを最もよく保つための条件は、水産乾物の保管ガイドでご紹介しています。
各国料理でのコウイカの調理法
コウイカの身はイカより厚く密度が高く、穏やかな甘みがあってやや締まっており、強火での焼き付けにも、じっくり時間をかけた調理にも向いています。内側の面に細かい格子状の切れ目を入れると、薄いピースは早く火が通り、ソースもよく絡みます。代表的な料理は次のとおりです。
- イタリアとアドリア海沿岸:コウイカの墨で黒く仕上げるリゾット・アル・ネーロ・ディ・セッピア(risotto al nero di seppia)。クロアチアとモンテネグロではツルニ・リジョト(crni rižot)として知られています。
- カタルーニャとバレンシア:コウイカやイカの墨で米を炊くアロス・ネグラ(arròs negre)。
- アンダルシア:パン粉や衣を付けて揚げたコウイカ。
- ポルトガル:コウイカを自らの墨のソースで仕上げるショコシュ・コン・ティンタ(chocos com tinta)と、セトゥーバル名物のコウイカのフライ、ショコ・フリット(choco frito)。
- スリランカ:衣を付けて揚げたコウイカを、バター、唐辛子フレーク、ピーマン、青ネギと炒め合わせるホットバターカトルフィッシュ。
- 台湾と華南:台湾のコウイカのとろみスープと、広東料理のスープでじっくり煮込む干しコウイカ。
コウイカの種の確認と品質
姿のコウイカは見分けやすいものの、カット品はそうはいきません。皮をむいてスライスすると、コウイカ、近海性のイカ、アメリカオオアカイカの身はよく似て見えることがあるため、規格書、請求書、カートンのラベルに種を記載しておく必要があります。解凍または戻したサンプルで役立つ確認項目は次のとおりです。
- 甲の破片:下処理済みの胴やフィレを手でなでて、取り残された石灰質の破片がないか確かめます。
- 色:冷凍品は清潔で明るい白色、乾燥品はクリーム色から琥珀色までの均一な色合いで、黄ばみや黒い染みがないこと。
- 墨:姿(ラウンド)の製品で墨袋が破れると染みが残るため、取り決めた許容範囲内に収まっている必要があります。
- 厚み:等級は胴の厚みに大きく左右され、厚みが歩留まり、戻し時間、身の火の通り方を決めます。
- 名称:仕向地の公式リストが求めるとおり、Sepia属、Acanthosepion属、Sepiella属のいずれかで表示します。
種と等級を並べて比較するには、種とカットを指定してコウイカのオファーをご依頼ください。腕が8本の近縁種、タコについてはタコの種類ガイドをご覧ください。
本ガイドは一般的な貿易情報であり、法律上・規制上の助言ではありません。要件は市場によって異なり、変更されることがあります。ご発注前に、通関業者または所管当局に最新の規則をご確認ください。





