ズワイガニは最も広く取引されている冷水性のカニの一つで、ビュッフェのカウンター、クラブボイル、小売店の冷凍ケースに並ぶクラスターのもとになっています。学名Chionoecetes opilioは業界での略称「オピリオ」の由来であり、このカニを、より大型のバルダイ(タナークラブ)や深海にすむベニズワイガニといった別種と区別する手がかりにもなります。当社が受注調達するオピリオとバルダイの形態と等級は、ズワイガニのページでご紹介しています。
本プロフィールで取り上げるのはカニそのものです。生態と珍しい成長の止まり方、カナダ、日本、韓国などでの呼び名、漁場と漁獲される月、厨房での使われ方、近縁種との見分け方を順にご説明します。クラスター、サイズ帯、身入り、漁獲関連書類については、タラバガニとズワイガニのバイヤーズガイドで解説しています。
要点
- ズワイガニ(Chionoecetes opilio)はクモガニ上科の真のカニで、北太平洋、北極海、北西大西洋の氷点に近い水中にすんでいます。
- 最終脱皮で成長が止まり、メスは小さいままなので、漁業ではオスだけを水揚げし、カナダでは甲幅95mm以上が対象です。
- クイーンクラブ、crabe des neiges、ズワイガニ、松葉ガニ、テゲはすべて同じ種を指します。
- バルダイ(タナークラブ)とベニズワイガニ(C. japonicus)は別種であり、それぞれ固有の名称で表示すべきです。
ズワイガニとは:冷水域にすむクモガニの仲間
ズワイガニは短尾下目(Brachyura)に属する真のカニで、クモガニ上科(Majoidea)に含まれ、科はOregoniidaeです。比較的細いハサミ1対の後ろに長い歩脚が4対あり、この脚の身こそが製品の価値を決めています。世界海洋生物種名録(WoRMS)には、Atlantic snow crab、queen crab、opilio tanner crabといった英語名が記載されています。
ズワイガニはまさに冷水の生き物です。SeaLifeBaseによれば、細かい泥、砂、礫の海底で、水深数mから約1400mまで記録されており、通常は100~300mに見られます。カナダ水産海洋省は、3°Cより冷たい水を好むと指摘しています。分布域は、日本海を含む北太平洋、アラスカ沖のベーリング海、チュクチ海、ボーフォート海、そしてグリーンランドとラブラドルからセントローレンス湾とノバスコシアに至る北西大西洋に及びます。
1990年代にはバレンツ海東部に現れ、1996年にグースバンク(Goose Bank)で初めて記録されて以来、ノルウェーとスバールバルの海域に向けて西へ分布を広げてきました。2013年までにはノルウェーの漁船が商業的に漁獲するようになっており、ノルウェーがカナダ、アラスカ、グリーンランドと並んでズワイガニの原産地に名を連ねているのはそのためです。
ズワイガニの生態:最終脱皮とオスに限った漁業
ズワイガニも脱皮を重ねて大きくなりますが、キングクラブやロブスターと違い、成熟すると成長が止まります。メスは卵を抱くための幅広い腹部が発達する時点で最終脱皮を迎え、それは甲幅約95mm未満の段階で起こります。オスは大きなハサミを得る最終脱皮で成長を終え、カナダ水産海洋省の記録では、成熟したオスの甲幅は約40~150mmと幅があります。小さいまま成熟したカニは、NOAAによれば最長で約20年とされる一生を小さいまま過ごします。
雌雄の大きさの差は、あらゆる漁業のあり方を左右しています。アラスカではオスの甲幅が約15cm(6インチ)に達する一方、メスが約7.5cm(3インチ)を超えることはまれなため、商業漁業ではオスだけを水揚げします。カナダの漁業は甲幅95mm以上のオスを対象とし、殻の硬いカニを狙って漁獲します。ベーリング海では、アラスカのカニ資源管理で定められた最小サイズをオスが満たしていなければなりません。
脱皮したばかりのカニは数か月間殻が柔らかく、身も少ないため、漁業の対象にはなりません。カナダ大西洋岸では、漁期中に殻の柔らかいカニが漁獲物に多く混じるようになると、その漁区(グリッド)が閉鎖されます。水揚げごと、また漁期の進行につれて身入りが変わる理由の一つも脱皮にあり、解凍したサンプルで身入りを確かめる方法はバイヤーズガイドでご紹介しています。
市場ごとのズワイガニの呼び名
ズワイガニは多くの名称で流通しており、そのうちいくつかは別の生き物ではなく、同じ種につけられた地域ブランドです。
| 市場・言語 | 使われる名称 | 備考 |
|---|---|---|
| 北米の取引 | スノークラブ(snow crab)、クイーンクラブ(queen crab) | クイーンクラブはカナダ東部で長く使われてきた名称で、一部のラベルにも見られる |
| アラスカ | オピリオ(opilio) | バルダイと区別するための業界の略称 |
| フランス語(カナダとフランス) | Crabe des neiges | フランス語の標準名 |
| スペイン語 | Cangrejo de las nieves | スペイン語の標準名 |
| ノルウェー語 | Snøkrabbe | バレンツ海の漁獲物に使われる |
| 日本 | ズワイガニ | 成熟したオスには地域ブランドがあり、山陰地方では松葉ガニ、福井では越前ガニ、京都府の丹後地方では間人(たいざ)ガニと呼ばれる |
| 韓国 | テゲ(daege) | 東海岸の盈徳(ヨンドク)と蔚珍(ウルチン)の港と強く結びついている |
| 中国の取引 | 雪蟹 | 文字どおり「雪のカニ」の意味 |
販売の場では「スノークラブ(ズワイガニ)」という名称がChionoecetes属のほかの種にも使われるため、オファー、カートン、ラベルでは商品名に学名を必ず併記すべきです。
ズワイガニの漁場と漁期
商業用のズワイガニはすべて天然の漁獲物で、大半は餌を入れたかごで獲られますが、アジアの一部の漁業では底引き網も使われます。漁期は脱皮と交尾、一部の海域ではクジラの保護も考慮して設定されるため、地域ごとにおおむね決まった漁期の暦があります。
- カナダ大西洋岸:セントローレンス湾南部では、通常、海氷が消えるとすぐの4月か5月に漁が始まり、初夏まで続きます。ニューファンドランド・ラブラドール、ノバスコシア、湾内のその他の海域はそれぞれ独自の漁期を定めており、タイセイヨウセミクジラが目撃されると、漁区が急に閉鎖されることがあります。
- アラスカ、ベーリング海東部:漁期は10月中旬に始まりますが、従来、漁獲の大半は1月から4月の間に水揚げされてきました。海洋熱波の後に資源が崩壊したため、2022/23年と2023/24年の漁期は閉鎖され、2024年10月に資源再建計画のもとで少ない漁獲枠により再開されました。それ以降、各漁期の漁獲枠はその年の資源調査に基づいて設定されています。
- グリーンランドとノルウェー:グリーンランドの漁業と、2010年代初めからバレンツ海で操業しているノルウェーの漁船。
- 日本:日本海の漁期は11月上旬に解禁され、松葉ガニなどのブランドガニ(オス)は11月から3月まで販売されます。
- 韓国:盈徳や蔚珍など東海岸の港で、寒い時期を通じてテゲが水揚げされます。
どの地域でも漁獲枠は資源調査に基づいて設定し直され、ベーリング海の資源崩壊は、大きな資源でもどれほど急激に変わりうるかを示しました。ズワイガニの大半は水揚げ後まもなくボイル・凍結され、リーファーコンテナで海を渡るため、初めてコンテナ単位の取引を始める前にリーファーによる水産物輸送のガイドに目を通しておく価値があります。
バルダイ、ベニズワイガニなど間違えやすいカニ
Chionoecetes属(ズワイガニ属)には7種が含まれ、いずれも大まかにスノークラブやタナークラブと呼ばれています。取引で特に混同されやすいのは次の3つです。
- バルダイ(タナークラブ、オオズワイガニ)(C. bairdi):北太平洋にすむより大型の種で、クラスターは重く、脚は太めです。ベーリング海で分布がオピリオと重なる海域では両種が交雑し、アラスカの規則では交雑個体を外見で分類して、バルダイの特徴に当てはまればバルダイ、当てはまらなければオピリオとします。ベーリング海のバルダイの解禁は毎年の資源調査次第であるため、漁獲枠は漁期ごとに大きく変わることがあります。
- ベニズワイガニ(レッドスノークラブ)(C. japonicus):北西太平洋、主に日本海の深海にすむ種で、水深約120~2700mで記録され、通常は1000~1500mに見られます。日本での商品名はベニズワイガニです。韓国の水産研究者は、韓国東岸沖で獲れる赤いカニ、ホンゲ(hongge)をこの種と同定しています。表示は単なるスノークラブ(ズワイガニ)ではなく、必ずレッドスノークラブ(ベニズワイガニ)とすべきです。
- 香住ガニ:オピリオではなくベニズワイガニを指す日本の地域ブランドで、ズワイガニの別名と解釈すべきではありません。
ズワイガニ属以外では、ズワイガニはキングクラブと比較されることが最も多くあります。キングクラブはより重い異尾類で、外から見える歩脚は3対しかありません。違いについては当社のキングクラブの種類ガイドでご説明しています。
ズワイガニの食べ方
ズワイガニの身は甘く繊細で、ほぐれやすい繊維質の食感があり、長い脚の節からは、割った殻からするりと抜けるきれいな身が取れます。輸出品の大半は塩水でボイルしてクラスターの形で凍結されているため、提供には解凍と加温だけで足ります。
- 北米:シーフードレストランやビュッフェでバターを添えて出す蒸したクラスター、スパイスの効いたクラブボイル、カクテルソースを添えた冷製の脚、クラブケーキ、サラダ、ディップに使う脚肉。
- 日本:冬にゆでるブランドガニのオスの姿、かに鍋、寿司用の脚肉。
- 韓国:沿岸のレストランで丸ごと蒸すテゲと、身を食べた後の甲羅に盛るチャーハン。
- 中国と東南アジア:火鍋、海鮮盛り合わせ、ビュッフェのカウンター向けのクラスター。
ズワイガニを食べやすくしている細い脚は、加熱しすぎやすさの原因でもあります。ボイル済みのクラスターなら通常は数分蒸せば十分で、それ以上加熱すると身がぱさつきます。特定の原産地と等級で季節の取り組みを計画される場合は、ご希望の納期にどのズワイガニ漁業が操業しているかをお問い合わせください。
本ガイドは一般的な貿易情報であり、法律上・規制上の助言ではありません。要件は市場によって異なり、変更されることがあります。ご発注前に、通関業者または所管当局に最新の規則をご確認ください。




